【開催にあたって】 近年、様々な企業不祥事が発生し、社会問題となっています。私は、弁護士として約7年半、大規模な企業不祥事対応や不正調査の案件に関わりましたが、2022年4月から3年間、日本郵政グループにおいて、グループコンプライアンス責任者(Chief Compliance Officer)として、グループガバナンス・コンプライアンス体制の強化に取り組みました。 その中で、コンプライアンス経営を再定義し、指標による管理を行ってPDCAを回すなど、コンプライアンス・リスク管理の高度化を図りました。また、内部通報制度については利用者満足度の向上を目的の一つに据えた運用に見直すとともに、リスク検知機能を高める運用に努めました。 企業が持続的な成長を遂げるためには、ハード面として、事業活動を停止するなどの影響が生じる大きな不祥事や不正が発生するのを未然に防止し、リスクを潜在的な段階から検知し、顕在化を防止するなどのリスクマネジメントの仕組みを構築し、運用することが必要となります。また、ソフト面でも、禁止事項を周知するコンプライアンスでは十分とは言えず、企業理念等から導かれる行動基準を浸透させ、実践するというアプローチが有効と考えられます。 私は、企業の2線が十全に機能することが、企業の持続的成長を支え、日本経済・社会の発展につながると考えています。 2線の業務は企業間での非競争領域であり、好取組は共有や横展開により、ベストプラクティスを共創することが望ましいと考えています。 私の経験談が、ガバナンス、法務、コンプライアンス、リスク管理等の2線の業務を担当している皆様の参考になれば幸いです。
質問OK
初~中級者向け