多様化する業務への対応や、職場のパワーハラスメントなどから生じるストレスにより、うつ病などの精神疾患による休職や労災認定が増加しています。厚生労働省が令和8年7月に公表した令和7年度「過労死等の労災補償状況」によれば、精神障害の請求件数は4958件で前年度から1178件増、他方で支給決定(労災認定)件数は1082件で前年度から26件増であり、請求件数は大幅に増加する一方、認定件数は横ばいないしやや減少という結果になりました。さらに、テレワークの利用拡大に伴い、休職と復職の判断が一層困難になるなどの事象も一部で見受けられ、精神疾患を理由とする休職から復職する際の適切な判断が求められています。他方、試し勤務に最低賃金の支払いを命じた近時の裁判例などを踏まえ、試し勤務を導入・運用する場合には、制度設計にも十分に留意する必要があります。とりわけ、令和8年7月以降、障害者雇用率が2.7%に引き上げられ、障害者の復職判定については、合理的配慮を尽くしたと言えるか否かが問われるケースが増加しています。そこで、メンタルヘルスに関する法的枠組みをおさえ、労災認定上の労働時間の考え方や、実務的に問題となりやすい休職や復職に際しての実務対応、紛争予防の観点で試し勤務をいかに活用するか等について、解説いたします。