日本企業がこの30年間にわたって成長戦略を実現できなかった背景には、人事改革を後回しにしてきたことが大きな影響を与えています。表面的な対処療法を重ねてきた結果、人材の多様性、管理職登用の平均年齢、社員のやる気やエンゲージメントなど、人材価値を示す様々な指標において世界との差は広がり続けています。一方で、世界と日本の労働環境・労働市場は大きく異なり、必ずしも米国や欧州の人事制度をすべて取り入れることが日本企業にとって良いわけでもありません。いよいよ高齢化とテクノロジーへの対応の遅れが顕著になった今の日本において、人材価値をこれまでにないスピードで高めるための人事戦略を実行し、人的資本経営を実現する必要があります。日本企業を取り巻く現実と、今後の人事戦略の策定手法、人的資本経営の情報開示についても、実践に基づいて解説します。