Ⅰ.マクロ視点からみたヘルステック動向
世界的に高齢化社会へ向かう中、デジタル技術の進化を背景にUX向上を追及した技術革新が進むと共に生活者ニーズは「治療」から「予防・予後」に拡大。一方でGAFAがヘルスケア領域へ参入するなどヘルスケア領域の境界線は曖昧になりつつあり、これらの変化はコロナ禍によってさらに加速した。これらの背景をふまえイノベーションの3要素とCOVID-19が世界に与えた影響を整理し、多様化・流動化するニーズに対する各企業の取り組み事例、ヘルステック動向を俯瞰するとともに、未来の人々の健康に関する洞察をお伝えする。
Ⅱ.ヘルステック動向を踏まえた三井物産のウェルネス事業戦略
COVID-19の前と後には、決して後戻りすることのない非連続的な構造変化が生じている。生活者や患者の価値観や行動様式の変容は、DXが異次元に加速していくこともその一つ。斯様に劇的に変化する事業環境の中で、三井物産はアジア最大規模のヘルスケアグループであるIHHという医療現場を持つ強みを活かして、患者中心で価値に基づく未来の病院のあるべき姿を志向すると共に、ヘルスケアデータを活用した業態変革、そして「予防・予後」ニーズの拡大に備え、全社を挙げた健康事業群の確立に挑む。