エンターテインメントやスポーツビジネスにおけるNFTに対する過熱した投機的ブームが過ぎ去った今、欧米を中心に、Web3の本当にあり方が盛んに議論されるようになってきています。Web3への取り組みにおいては、そのテクノロジー的特徴はもとより、20世紀的な「お金」「名声」よりも「人生の豊かさ」を大切にする社会へと変化しつつある国際的なトレンドをつかむ必要もあり、その視点が欠けると、Web3の本質を捉えたイノベーションを起こしにくくなるという問題があります。
Web3に対して、20世紀的な「競争」「先行者利益」の延長で取り組むのではなく、「信頼」「スキル」「貢献」の可視化を中心としたコミュニティ作りの発想で取り組むことによって、勤勉実直で利他的な思考を強みとする日本人が国際的に力を発揮できる可能性はますます高まるといえ、さらにこれに「失敗への恐れ」を「対話による理解」で乗り切る発想の転換があれば、日本人はWeb3に必要不可欠と言えるファシリテーター、ルールメーカーとしての役割を果たしていくことができると思われます。
この講義では、エンターテインメント、スポーツビジネスにおけるWeb3ビジネスの可能性を、主にファンダムとファシリテーターという観点から、欧米の事例をいくつか拾いつつ、語っていきたいと思います。