2020年には個人情報保護法の3年毎見直しに基づく改正(令和2年法律第44号)がなされ,2021年にはデジタル改革関連6法の一環として,デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年法律第32号,50条及び51条関係)により,個人情報保護法に関し,規律を官民一元化し,地方自治体の個人情報の取扱いについても統一ルールが定められる改正がなされた。2020年改正及び2021年改正の前半部分(整備法50条関係)は2022年4月1日に施行されているが,改正項目が多岐に渡り,特定分野のガイドライン等は施行直前に公表されたものも多かったため,なんとかプライバシーポリシーは改訂したものの,なおも社内規程等の改正対応が追い付いていない事業者は多々見られる。
さらに,2022年通常国会には,①大規模な事業者が取得する利用者情報について適正な取扱いを義務付け,②事業者が利用者に関する情報を第三者に送信させようとする場合、利用者に確認の機会を付与することを内容とする電気通信事業法の改正法案(電気通信事業法の一部を改正する法律案)が提出されており,このうち,特に②についてはいわゆるCookie等に関する規制が広い範囲の事業者に及ぶ可能性のある内容となっている。事業者としては,必ずしも十分になされていない個人情報保護法2020年・2021年改正への対応を進めつつ,電気通信事業法の2022年改正にも備えなければならないということになる。
本講義では,個人情報保護法改正と電気通信事業法改正について,有機的に把握して対応できることとなることを目標とする。