製造業にとって、2050年のカーボンニュートラルを目指した取り組みが始まっています。ただしこれは、単にCO2の排出量を削減すればよいという問題ではなく、ものづくりの軸足が従来のような自由な競争を重視する立場では立ち行かなくなることを示唆しています。それぞれの企業は、協調のためのメカニズムをしくみとして組み込む必要があり、デジタルでつながること前提とした新しいルールに従う必要があります。
これまで製造業は外部とデジタルでつながることを避けてきました。デジタル化がもたらす破壊的な意味を本能的に知っているのです。すなわち、デジタル化によるロックイン、ノウハウや知財の流出、均質化や競合との格差拡大です。こうした状況を避けつつ、製造業が新たな未来に展開するため、欧州で先行するデータ主権やデータ空間の取組を参考として、我が国のものづくりに適したカーボンニュートラルのための協調のしくみを議論します。