【特別企画】「令和大磯宣言」後のこれからの品質経営を探る
①日科技連・品質経営研究会が考える「これからの品質経営」
佐々木 眞一 氏(トヨタ自動車㈱ 元副社長、一般財団法人日本科学技術連盟 理事長)
→日科技連では、第109回品質管理シンポジウム(2019年12月)において、
「顧客価値創造と組織能力強化の連携による企業存在価値の最大化~これからの
品質経営の枠組みの提案~」をテーマに議論を行い、「令和大磯宣言」として、
これからの品質経営の在り方について提言を行いました。
これは、これからの品質経営は、企業存在価値を最大化していくためには、顧客(社会)価値を
創造し、それを実現するための組織能力を獲得・向上していく必要があるという内容であり、
今後の日本企業が生き残っていくたに必要となる考え方です。
そして、その考えを産業界へ発信・普及していくために、「JUSE-エグゼクティブセミナー」
(学長:坂根正弘氏)を通じたそのノウハウの提供、「品質経営研究会」でのより具体的な
考え方、方法論、手法の検討を進めています。
本セッションでは、令和大磯宣言後の日科技連での取り組みや、現状の議論の内容に加え、
品質経営(顧客価値創造+組織能力の獲得・向上)に取り組んでいる企業での実践事例を通じて、
今後の日本企業が生き残っていくための方向性をお話しします。モノからコトへと言われる
価値観の変化に素早く対応し業績を上げている企業が実践する「コト価値時代の品質経営」と
「それを支えるTQMとは」の研究結果もご紹介します。
②顧客価値創造“モノからコトへ”のためのアプローチ~BM(ブランドマネジメント)ストーリー~
鈴木 浩佳 氏(トヨタ自動車㈱ モノづくり開発統括部 企画・人事室 主査)
松村 喜弘 氏(ビジネスエンジニアリング㈱ コンサルタント)
→グローバル社会の成熟により顧客が求める価値は、所有から利用体験に急速にシフトし、
良いモノでグローバル競争を牽引してきた我が国の産業界でも、顧客のコトに着目した
価値づくりへ変革が求められています。モノ中心の時代には、顧客に受け渡す製品にて
価値を創り込むことができましたが、コト中心の時代では、顧客に受け渡してからも製品・
サービスを組み合わせて価値を創り出していかなければなりません。
そのような課題に対応すべく、品質経営研究会が組織され、「ビジネスモデルで先行し
現場力勝負に持ち込む」ための方法論としてBrand Management(以降BM)ストーリーの
整備を進めてきました。BMストーリーは、事業の構想と実装の両輪を一気通貫で生み出す
枠組みであり、顧客の未来課題の探索から始まり、顧客の成功を長期的にサポートする
ための新製品サービスの考案を通じて自社のマネタイズシナリオを描きます。
さらに、シナリオ実現のために組織横断的に取り組むべきアクションを活動システムとして
表現し、活動システム実行のための組織能力をTQMの考え方に基づき開発するものです。
本講演ではBMストーリーの全体像とともに、BMストーリーの実践に必要な組織能力についても紹介いたします。