COVID-19に代表されるように、将来を見通すことはかなり難しい。エネルギーの世界でも、昨年末に洋上風力で総取りした三菱商事の提示した価格は、それまでの日本の常識を大きく覆すものであった。
このように、大きな想定外のイベントや、前提が大きく変わることが起きた場合には、現在日本政府の想定している青写真が大きな変更を余儀なくされる。想定している既存化石燃料インフラ重視・海外からの水素系燃料の大量輸入の各種前提が崩れる可能性もあるであろう。
どのようなことがどう起きるか?の確度を現時点で推し量ることは難しいが、そのようなことが起きた場合に、どう対処すべきかを前もって考えて(用意して)おくことは可能であるし、望ましい。
ここでは、エネルギー供給側のコスト面(再エネ、ブルー/グリーン水素/アンモニア)、需要面の変革(電気自動車、電化へのシフト)、そしてエネルギー政策の考え方(海外依存に対する考え方)、各種付加価値の要求、カーボンプライシング、海外/EUの黒船(炭素国境メカニズム、 タクソノミー、情報開示等)、 海外での原発事故 等の「可能性」を想定しつつ、複数の将来の可能性を整理し、その「分岐」のクライテリアや選択肢のロバストネスを、リスクや機会の観点から、定性的に考えてみる。