Ⅰ.2040年に向けた介護制度充実に向けた施策
〜介護現場における生産性向上の推進について〜
高齢者の急増、そして、現役世代の急減と、我が国の人口構造が大きく変化していく中にあって、介護現場においては、サービスの質の確保と従事者の負担軽減に向けた生産性向上の取組を進めることが一層重要となってきている。厚生労働省では、介護現場における生産性向上の取組に対して、様々な制度、予算事業等による支援を行っているところ、本セミナーにおいては、当該支援策等について、着目する視点を含めて幅広く紹介するとともに、特に介護ロボットやICT等テクノロジーの導入やいわゆる介護助手の活用等について、それぞれの考え方や今後の課題等についても併せて説明する。
Ⅱ.介護職が介護業務に専念するための
「介護助手」の積極採用による効率向上と離職率低下の効果
第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数は、2040年度には約280万人(2019年度比+69万人)と推計されているが、生産年齢人口が減少するなかで推計通りに人材を確保することは難しい。このような状況下で、全国47都道府県の老健施設に拡がった「介護助手」の取り組みは、介護職員の周辺業務を担う具体的な人材対策・業務改善の取組等として離職防止に寄与する等の効果を挙げている。
その状況を、これまで先駆的に導入してきた三重県での取り組みや令和2年度老人保健健康増進等事業「介護老人保健施設等における業務改善に関する調査研究事業」において取り纏めた高年齢介護助手の導入状況や実施業務等の取り組み等について紹介するとともに、英文論文にもacceptされた介護現場における「介護助手」導入の有用性について改めて紹介する。