近年、中小企業の経営者の高齢化が進む中で、事業承継に課題を抱える企業は増加しており、事業承継に対する対策の重要性が一層高まっています。しかし、中小企業オーナーの事業承継に関する悩みは千差万別で、その企業の実態に合わせたオーダーメイドの事業承継スキームをプランニングすることが必要です。
本講座では、税理士をはじめ、ライフプランナーや相続コンサルタント、中小企業の「事業承継」に関わる実務担当者に向けて、事業承継プランニングを検討するにあたり必要となる知識やノウハウを体系的に理解できるように、整理して学んでいきます。
PART1では、まず事業承継の課題や選択肢を明確にし、プロジェクトの進め方を分かりやすいフローチャートで整理します。その後、持株会社スキームなど一般的な事業承継手法を具体例を交えて解説します。会計・税務知識を中心に、株式交換時の適正な交換比率や非上場株の評価方法など、実務での重要なポイントを丁寧にカバーします。さらに、見落としてはいけない役員退職金の落とし穴や、いわゆる「功績倍率法」以外の退職金の適正額の考え方などを整理し、実務に活かせるようになることを目指します。
PART2では、より複雑で特殊な事業承継事案に対応するための応用的な論点に焦点を当てます。まず、分社化スキームや事業承継税制の効果的な活用法を詳しく解説します。近年増えつつある合同会社などの持分会社の承継対策については、対策が取られていないケースも多いですが、株式会社とは異なる税務上の取り扱いがあるため、プランニングにあたって知っておくべき留意点を解説します。最後に、議決権対策として注目される種類株式や属人的株式について、近年誤った活用がされている事案を目にすることが増えてきたので、改めて整理します。