コロナ禍の今、医療体制のあり方が問題視され、「医療組織のトップ・マネジャー」による意思決定が一段と注目されている。管理職となる医師は部下の育成が求められ、第一線の臨床から離れる戸惑いや葛藤、トレードオフ関係にある医療の質と経営効率、さらに自身のキャリア形成への不安など多くの問題を抱える。
病院経営において優れた業績をもつ医師を対象に、行動観察とインタビューによる調査を行い、「専門職としての医師」から「組織のマネジメントを担う変革型リーダーとしての医師」への転機をいかに乗り越えて成長し、自身のアイデンティティを変化させていったのか、その過程と発達メカニズムを明らかにし、変革型リーダーによる組織変革のダイナミズムの描出を試みる。